2021.10.06 大人の矯正

用語解説「SS」「FM」

こんにちは、歯科医師の嶋本です。

矯正治療では患者さんに合わせて数多くの装置・材料・器具を使用します。

それぞれの装置の役割や注意点を伝える際、分かりやすく言い換えて説明します。

しかしスタッフ間では専門用語や独自の略称を使うため、来院時には聞きなれない用語も耳に入ると思います。なかには用語の意味が気になっている方もいるかもしれません。

今回は治療中に登場する「ワイヤー」と「チェーンエラスティック」を略称を含めて紹介します。

 ①ワイヤー

矯正治療で用いるワイヤーにはさまざまな種類や太さ、形状のバリエーションがありますが、「ニッケルチタンワイヤー」と「ステンレススチールワイヤー」がよく用いられます。

「ニッケルチタンワイヤー(Ni-Tiワイヤー)」はニッケルとチタンが含まれることで超弾性と形状記憶という性質を持っています。簡単にいうと非常に柔らかく、継続的に力が働き、元の形に戻ろうとする性質を持っています。

メガネのフレームにも使用される材料で、当院ではそのまま「ニッケルチタン」と呼んでいますが「ナイタイ」「ナイチノール」とも呼ばれます。院内では太さと併せて「012のニッケルチタン」などと伝達しています。

「ステンレススチールワイヤー(Stainless Steelワイヤー)」はstainless(錆びない・錆びにくい)・steel(鋼・はがね)を材料としたワイヤーで、高い剛性を持っています。簡単に言うと硬い性質を持っているため、色々な形に細かく曲げることが出来ます。

スプーンにも使用されており、当院では「SS(エスエス)」と呼んでいます。これも先と同様に太さと併せて「016のSS」というように伝達しています。

 ②チェーンエラスティック

矯正治療中にはさまざまな種類のゴムが登場しますが、今回はチェーンエラスティックを紹介します。主に歯のすき間を閉じる際に使用し、透明な小さなゴムの輪を鎖状に連結させたものです。

「パワーチェーン」と呼ばれることも多いですが、当院では「FM(エフエム)」と呼んでいます。透明で小さいため一見同じに見えますが、厚さや輪の間隔で種類があり7種類ほどを使い分けています。ゴム自体は透明ですが保管ケースが色分けされているため「ピンク」や「みどり」と呼び分けています。さらに装置へのかけ方や部位、輪の個数を変えることで、歯の移動に最適な力を発揮するように調節しています。来院時には「左上の3番から6番にピンク4個」や「ループから5番にみどり3個」というような声が聞こえてくると思います。

どんなことでも知らないこと・初めての経験は不安に感じます。

特に医療機関で知らない言葉が耳に入ってくると不安を感じてしまうかもしれません。

聞こえてくる用語の意味を知ることで自身の治療もより詳しく理解し、なにより安心して治療に臨んで頂ける一助になれば幸いです。